2009-12-27

「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」の報告を受けて

昨日(日付上は一昨日)になりますが,国土交通省の
ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会
の第四回検討委員会が12月25日に開催され,「疑似エンジン音などの発音を新車に義務付ける」などのとする報告書案がまとめられたそうです。

例えば,【毎日jp】ハイブリッド車:疑似エンジン音など義務付け 国交省などをご参照ください。


まだ,国交省の委員会からの正式発表は見ていないのですが,ニュースなどによると,早ければ来春には「擬音装置」を搭載した車を販売する計画がある一方,企画化には数年を要するという状況のようです。
国交省に寄せられた400件余りのパブリックコメントのうち,1/4程度は発音装置に対する反対意見であったという報道(西日本新聞,2009年12月26日朝刊)もありましたので,一概に発音装置を法制化する流れにはないようです。
ただ,1/4の反対コメントにも関わらす,装置の法制化を目指したいという委員会の意向があるようにも読めました。委員会の狙いはどうなのでしょうか?今後も情報収集していきたいと思います。


私たちの研究グループでも,低騒音自動車の接近や存在を知らせる音のデザインについて研究を重ねています。
私たちとしては,安易な音の付加には大反対です。
ただ,現実問題として,ハイブリッド車や電気自動車のような低騒音自動車に歩行上の危険を感じる歩行者が存在することも事実なわけで,時限的な解決として音を付加することによる解決も検討されるべきと考えています。

音を使うとした場合,使用される音に関して,存在認知性などの機能性や聴感上の親和性と音響的特性との対応関係について,正確に把握しておく必要があるでしょう。そのあたりを,音響学を専門とする研究者として正確に論じていこうと思います。

2009-12-24

少し前の話になりますが,日経トレンディ12月号に
【2010年ヒット予測】大手参入で「NEO電動スクーター」がブレイク?
という記事が出ていたそうです。

記事によると
2010年、話題の電気自動車の裏で、電動スクーターがじわり浸透する。

起爆剤となるのは、大手のヤマハ発動機とホンダの本格参入。東京モーターショーで公開された試作車をベースに、「EC-03」(ヤマハ発動機)は2010年後半、「EVE-neo」(ホンダ)は2010年中にも発売される見込みだ。

とのこと。

記事では音のことには触れられていなかったけど,電動スクータの音の問題はどうなっていくのでしょうか。HVよりも電動スクータの方が歩行者との動線の交差が多いと考えられるので,本当にブレイクして「多くの人の“足代わり”」になったら,音が小さくて気づかないという問題はより身近なものになってくるでしょう。



ただ,繰り返しますが,この問題はHVや電動スクータだけの問題ではないはずです。「HVにも音を出す装置を義務づけたから電動スクータにも義務づけよう!」なんてことになると,じゃあ,自転車もベビーカーも!?
音の利用について,音環境について,社会全体が考えるいい機会にしたいですね。

2009-12-21

タイヤによる走行印象の違い

車のタイヤにヒビが入って,タイヤを交換することになった。
ガソリンスタンドで,空気が抜けてますよと指摘されて発覚!

いくつかの店舗で価格や性能を比較して,
結局,ブリジストンのECOPIAに決めて,先週の木曜日に,交換してきました。
「転がり抵抗が小さくて,燃費向上,元のタイヤより静粛性も向上してます。」とのこと。

半信半疑でしたが,実際に乗ってみると,確かに転がり抵抗が小さく、音も静か!
ちょっと感動。
週末に高速で長崎ー福岡を往復したけど,
100km/hで走っていると,5〜10dBくらいは違うように感じる。
(でも,1週間以上のインターバルをあけた比較なので,自信無し。)


相対的な差で,以前の印象の記憶が薄れていくので,交換後3日も経つと差が分からなくなってきました。
「ちょっと静かで,滑らかな感じじゃない?」と妻に聞いてみるが,よく分からんとのこと。
うーむ。

交換直後の走行印象の違いに関する感動は薄れてきたけど,
これから燃費の変化で楽しめるはず。
いままでの燃費を記録してないから、ちゃんとした比較はできないが,だいたい12~13km/l だったはず。
のびるかな?

2009-12-17

ブログ整備&移行準備中!

これまで別のブログサービスで音日記を細々と更新してましたが,一念発起してリニューアル中。
以前のデータをバックアップしておこうかと思ったら,データのエクスポートができないサービスだったので,見切りをつけました。
大学教員としての公式な立場でのblogですので,広告なしを最重要ポイントとして,bloggerに移ってきました。

テンプレートをいじったり,スタイルシートに手を入れて「シンプル」をコンセプトにデザイン整形。
ついでに,大学のサーバの公式ホームページも,ここのデザインに合わせてリニューアルしました。


以前はこんなデザイン→だったので,ちょっと印象が変わったかな。

今後,公式においているPHOTOコーナーも,Flickrとかに移設することを検討中。


なぜ,こんなことをしているかというと,外に向けて研究内容をアピールして知ってもらう努力をしないといけないと,改めて感じているから。いろんな人の目にとまって,いろんな意見をもらう中で研究を磨いて行かないと。

そんな気分で,これからも頑張ろう。

2009-12-16

はじめに

大学で音響工学の研究教育をしています。
学生をはじめ,多くの人に「音」に対する興味を持ってもらえるよう,音日記を公開してみます。

音の存在や影響は,日々の生活ではあまり気に留められずに通り過ぎて行きますが,ここの記事を読んで「そういえばそんな音も聴こえるな」と,いろいろな音に耳を傾けてもらえればいいかな。

とりあえず,よろしくよろしく。



ちなみに,以前の音日記をこちらに順次移行中です。
とうわけなので,開設日以前のエントリーも増えていきます。

音日記とは

「音日記」をつけてみよう。たとえば、珍しいと思う音、その音に対するあなたの反応、 音環境全般についてのいろいろな意見、重要だと思うことなど、 なんでもいいから毎日綴ってみよう。

サウンド・デュケーション」(R.マリー・シェーファー著 鳥越けい子訳、春秋社)より

2009-12-14

発表を振り返って

金曜日の発表には,多くの方々からご意見をいただき,有意義な議論をさせていただきました。
まずは,環境音の条件を整理してみる必要がありそうです。例えば,「大通りのそばのような環境は,HVが現実に問題になるような環境か?商店街のような環境条件が現実的。」とのご意見。

しかし,環境音条件を増やすにはHATS君を抱えて出て行く時間をつくらねばなりませんね。サポートしてくれるスタッフも探さねば。


ちなみに,HATS君とはHead and Torso Simulator(写真)。上半身の模型で,耳のところにマイクがあり立体的な録音が可能になるもの。けっこう大柄なので,連れ回すのは大変です。

次報は3月の音響学会の「都市環境における静穏性と安全性の両立」というスペシャルセッションにて発表の予定。電通大@調布での開催です。

2009-12-04

騒音振動研究会にて発表

12月11日に九州大学大橋キャンパスで開催される
日本音響学会・騒音振動研究会にて
「自動車の接近報知音に求められる音量に関する調査」
と題する研究発表をします。

いわゆるエコカーに「静かだから音をつけよう」という動きに対して,
「ちょっと待って!その音について音響的にきっちり考えないとまずくない?」
という研究です。
今回は,もっとも基本的な音響的特徴である音量について,
環境音シミュレーションによる音響心理実験で検討してます。

こちらに内容梗概を掲載しました。

ご興味ある方はぜひ九大大橋キャンパスまで!