演奏会三昧第3日は,こちらのボスに誘われているバイエルン民族音楽。「コンサートではなく,集まりだ」と説明されているのですが,どういったものなんやら?という感じでほとんど前知識無しで出かけました。
途中の地下鉄駅で待ち合わせて,車で拾ってもらって会場へ。奥様に初めてお会いしました。すでにリタイアされているけど,高校でドイツ語とフランス語を教えていたそうで,とても綺麗な英語も喋る方です。
会場は,ミュンヘン市南西部のSendling地区にある,聖トーマス・モールス教会(St. Thomas Morus)の集会場。どうやら,教会所属の地区の人たちが集まり,音楽や食事を楽しむというイベントのようです。(たぶん,ね。)
毎月のようにいろいろな会場で行うそうなのですが,オリジナルには秋に行うものだそうです。
ちなみにタイトルの"Boarischer"というのは,「バイエルンの(Bayerische)」のバイエルン訛り。 "Hoagartn"というのもバイエルン訛りだそうです。標準ドイツ語なら"gartn"が"garten"となるところですが,訛っています。
集まったのは総勢200人はいるかという感じ。その中で,こちらのボスを含む10名くらいが楽団として参加していて,演奏をします。演奏は,ツィター(Zither),ギター,ハックブレット(Hackbrett/写真),コントラバス,ハープ,アコーディオンなどによる演奏と歌。特に,ツィターやハックブレットは,バイエルンやチロルなどのアルプス地方独特の楽器。演奏される音楽もバイエルンの音楽だそうです。
とりあえず料理を食べて,それから演奏などなどが始まります。上記の楽器のソロやアンサンブルと歌,それから民話やポエム(?)の朗読が交互に披露されます。朗読は,当然全く分かりません。でも,おもしろ系のお話のようでみんな笑ってます。落語のように声色を変えたり,スピードを変えながらなので,ある種の音楽のように楽しみました。
あまり外国人が参加することはないイベントのようで,司会のおじさんが,わざわざ僕のことを紹介してくれました。ところが「今日の演奏を聴くためにわざわざ日本から来た」というような感じで紹介したようで,すごい喝采を受けました。ボスの入れ知恵か!?
さて,そのボスはコントラバスとハックブレットを演奏してました。今まで知らなかったのですが,学生時代は工学部と音楽学部を掛け持ちしていて,コントラバス奏者の道も考えていたらしい。州立歌劇場でプロの奏者たちが音楽の話をせずにサッカーの話ばっかりするのに幻滅して,研究者になったんだって。まあ,この辺のエピソードは話半分かもしれないけど。でも実際,著書のプロフィールを確認したら'69年にミュンヘン音楽大学(Hochschule für Musik und Theater München)を卒業して,'70年にミュンヘン工科大(TUM)を卒業とのこと。ちなみに専攻はコントラバスだったそうです。音響学は音楽と切っても切れない関係にあるので,音楽の素養がある研究者がとても多いですが,音大を演奏専攻で卒業してる研究者は少ないぞ!
バイエルン州立歌劇場でコントラバスを弾くか,ミュンヘン工科大でアカデミアに入るかという選択だったわけですよね。凄い!どっちもドイツ国内で指折りの,世界に名を馳せる団体ですよ。僕の場合は,研究職が見つからず困り果て,かといって打楽器でも食っていけないし,というポスドク生活だった。ベクトルの方向性はちょっと似てるんだけど,スケールが全然違うなぁ....
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