どこまで書いていいか難しい話題なので,ここに掲載するかどうか悩みましたが,情報提供として,会議の様子と感想を私見としてまとめておきます。
(注:というわけで,以下にあるのは,あくまで山内個人の見解です。公式には,次回会合で議事録が承認され,UNECEのサイトに公開されるはずです。)
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現在,「静かな車の危険性」が指摘され,各国政府,ならびに関連業界が対応を迫られています。QRTVの課題は,この静かな車の問題についての具体的な議論を行い,上位委員会であるWP29のGRB(騒音部門委員会)への提言をまとめることです。その中で,現時点で唯一の具体的な国レベルの対応である日本のガイドラインが,有力な議論の中心となっています。
今回のQRTVでの議論の中心は
・どのようなタイミングで音を鳴らすのか
・ON/OFFスイッチを備えるべきか
・どのような音(音色/音量/時間パターン)を鳴らすのか
・どの程度の拘束力を持たせるのか
などの問題でした。(詳細は,議事録の公開を待とうと思います。)しかし,まだまだ「折り合い」はついていない状況です。
個人的な成果としては,自らの研究動向を紹介して,かなりの存在感を示すことができました。QRTV議長,GRB議長からも「次回も来いよ!」と言ってもらえましたし。(議論のための具体的なデータが少ないのが実情で,アカデミアからの更なる情報提供を期待されていると強く感じました。)また,ON/OFFの切り替えスイッチの装備に関しての議論の中で「議論中の音は,スピーカから鳴らされなければならないとは限らないはずだ。スイッチを装着すべきなどと記述することは『スピーカからの放射』が前提と捉えられる恐れがあり,将来の車のサウンドデザインを制限してしまう。」と指摘できたのはよかったと思っています。
また,このような世界共通の基準に直結する場所で,自らの研究データを紹介しながら議論に参加することができたというのは,とてもとても大きな体験でした。学会のような,政治的に中立な場所での発表とは異なり,発言や立場の取り方の難しさがありますが,それも興味深く経験することができました。次回のQRTVも,ぎりぎり参加できそうな日程ですので,さらなる情報収集と可能なら研究報告を行いたいと思っています。
写真は,会議が行われたドイツ自動車工業会(VDA; Verband der Automobilindustrie)の建物入口と会議の様子。
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