2011-05-15

静音車対策の現状について

明日から4泊の日程で,米国サンディエゴで開催される国連QRTVの第6回会議に出席してきます。(早朝羽田着という太平洋便を利用することにしたら,4泊7日という変な日程になりました^^:)前回会議(1月@ミュンヘン)で国際ガイドライン案の骨子がまとまり,今回のサンディエゴの会議からは,技術規則の制定に向けた検討が始まる段階です。

実は,とある学会から「静音車問題の現状と課題について」の解説記事を依頼され,入稿を終えたところです。というわけで,ちょうどいいタイミングで各国の静音車対策の現状についてまとめた文章ができましたので,blog用にアレンジしたものを公開します。

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1. 日本国内のうごき
まず,日本の状況を振り返る。2009年7月に,学識経験者,視覚障害者団体,自動車メーカ,ユーザー団体等からなる「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」が国土交通省内に立ち上げられ,2010年1月には「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」が公表された。このことはテレビや新聞でも大きく取り上げられ,広く話題となったことは記憶に新しい。

このガイドラインでは,「内燃機関が停止状態,かつ,電動機のみによる走行が可能な電気式ハイブリッド自動車,電気自動車及び燃料電池自動車」を対象として「歩行者等に車両の接近等を知らせるため(中略)車両に備えるための発音装置」(車両接近通報装置)の要件を示すものである。

ガイドラインでは,この装置に以下のような要件を求めている。
  • 「少なくとも車両の発進から車速が20km/hに至るまでの速度域及び後退時おいて,自動で発音する」
  • 装置を一時的に停止させる一時停止スイッチを設ける場合には,「停止された状態のままにならないような設定とすること」
  • 発音される音の種類については「車両の走行状態を想起させる連続音」とのみ示され,各社の設計に自由度を持たせている
  • 音量についても,「内燃機関のみを原動機とする車両が時速20kmで走行する際に発する走行音の大きさを超えない程度」とのみ示されている

2. 各国のうごき
静音自動車の問題は米国でも大きく取り上げられている。しかし,欧州では,現時点ではメーカによる対策の動きはあるものの,行政による大きな動きは見られない。

米国では,視覚障害者団体等の要請を受けて調査が開始され,2011年1月には,車両の最低騒音レベル規制等を検討する「歩行者安全強化法」が成立した。この法案は,静音車両による歩行者の危険性に対策を講じるもので,米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)に対して,
  • 18ヶ月以内(2012年6月まで)に発効すること
  • 発効から3年以内に対象車種に適用させること
を義務づけている。装置の要件として,一時停止スイッチの禁止や,速度変化が分かる事などが示されている。


3. 国連の専門委員会での議論
国際的には,国連欧州経済委員会(UNECE)自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)の騒音専門分科会(GRB)内に,静音車両インフォーマル会議(Informal group on Quiet Road Transport Vehicles; 略称QRTV)が設けられ,この問題についての議論が行われている。QRTVに課せられた課題は,この静音自動車の問題についての具体的な議論を行い,上位委員会であるGRBへの提言をまとめることである。QRTVならびにGRBでは,2011年2月までに自動車業界が統一的に使用できる短期的対策を,2012末から13年初頭には中期的な対策を示すというタイムラインに沿って検討が続いている。

2011年1月のQRTV第5回会議(@ミュンヘン)までに,現時点で唯一の国レベルの具体的対策である日本のガイドラインをベースとした国際的ガイドライン案が議論され,2011年2月に行われたGRBにおいて車両構造に関する統合決議(RE3)に掲載することが提案された。2011年5月のQRTV第6回会議(@サンディエゴ)からは,国際技術規則(GTR)の制定に向けた検討が予定されている。

2011-03-17

避難所ならびに仮設住宅での音の問題について

このたびの東北地方太平洋沖地震の被災者の方々に心からお見舞い申し上げますとともに,一刻も早い被災者の方々の救出と復興をお祈り申し上げます

この災害に立ち向かえる音響学の知見として,避難所および仮設住宅での音の問題に関する調査を紹介します。無論,現時点(3月17日)の東北地方の避難所で必要なのは生き抜くための支援で,この話は役に立ちません。この情報は,これから避難者を受け入れる非被災地の避難所や仮設住宅提供者を対象に考えています。

注)以下の知見は,福島大学の永幡幸司准教授らによる一連の研究によるものです。本来,彼の手によって社会に紹介されるものですが,彼自身も被災者として今は家族の生活を守っています。


  • 避難所での音の問題
2004年の新潟県中越地震の避難所において,避難所における音の問題が調査が実施された。調査は,翌2005年8月に山古志村民を対象としたアンケートによって行われ,68名から有効回答(有効回答率83.1%)を得ている。

「音のことで困ったことがある」と回答したものは,27名(39.7%)である。ただし,「お互い様だから(中略)しょうがない」「音の事で困らなかったわけではないが,状況を考えたら仕方がない」などの回答もとも少なくない。

地区別に比較すると,半数程度のものが音の事で困ったことがあると挙げている地区があるのに対して,誰も挙げていない地区もあった。前者は大きな地区からの避難者全員が1つの体育館に避難するという避難形態であり,後者は小地区ごとにとまって一部屋に避難する避難形態であった。ここからは,ふたつの事が見えてくる。一つは,避難者相互の社会関係性の維持の大切さ。そして,体育館のような大空間の音環境の粗悪さ。

また,音環境に関する不満は,他の生活環境要素(生活空間の広さ,温度,明るさ,におい,風呂,トイレ等)に関する不満と比べて,不安感,不愉快などのストレス関連項目に強い関係性があることも示されている。さらに,ストレス関連項目と音環境についての愁訴の関係から,避難所の音環境を改善することで,避難所生活において感じられる不安,不愉快,ストレスを軽減できる可能性が高いことが示されている。


  • 仮設住宅における音の問題
上記の結果は避難所における生活環境であるが,仮設住宅における音の問題はどうであろう?

先に紹介した2005年の調査の翌年,2006年8月に仮設住宅に住む避難者に対して行われた調査では,音の問題について45.9%の回答者が愁訴した。音の問題は,生活環境に対する設問の中で4番目の愁訴数であり,生活空間の広さや設備の問題といった仮設住宅そのものに対する愁訴と比べると愁訴者数が少ない。この傾向は,避難所における生活環境に対する愁訴の場合と同様である。

また,過去に行われた,阪神淡路大震災と雲仙火山災害の避難者調査から,このような仮設住宅における音の問題の愁訴の多寡は,単にアパートやマンションなどの居住経験といった要因による可能性が指摘されている。しかし,旧山古志村の被災者については,アパートやマンションなどの居住経験は少ないにも関わらず,音に対する愁訴率が低い。これは,旧山古志村民の仮設住宅への入居にあたっては,村での集落の機能が仮設住宅でも活用できるよう考慮した部屋割りとなっていることが影響していると考えられる。

騒音問題の社会的性格を考慮すると,こうした住民の社会関係のあり方を考慮した部屋割りが,仮設住宅における騒音問題を一定程度緩和する役割を果たすとしても,おかしくはないだろう。故に,入居後の仮設住宅での社会関係のあり様を十分に考慮することが大変重要であることが見えてくる。

受け入れ側の設備の都合のみでなく,入居者や避難地区全体を考慮した受け入れ態勢の整備が望まれる。


  • まとめに代えて
こんな話まだまだ早い,音なんか気にするどころじゃないんだ,とお叱りをいただくかも知れません。前述の通り,これから避難者を受け入れる非被災地の避難所や仮設住宅提供者に知っておいていただき,考慮に入れていただきたい知識です。恐らく,これから受け入れ態勢が整えられていくと考えますので,その過程において役立つ事を願っています。


[参考文献]
Koji Nagahata, Hideyuki Kanda, Tetsuhito Fukushima, Norio Suzuki, Megumi Sakamoto, Fuminori Tanba, Shin-ya Kaneko, "What impact do acoustic environment problems have on the stress suffered by evacuees at temporary shelters?,", Acoustic Science and Technology, 30(2), 110-116, (2009).

Koji Nagahata, Norio Suzuki, Megumi Sakamoto, Fuminori Tanba, Shin-ya Kaneko, Tetsuhito Fukushima, "Acoustic environmental problems at temporary shelters for victims of the Mid-Niigata Earthquake," Acoustic Science and Technology, 29(1), 99-102, (2008).

永幡幸司, 鈴木典夫, 坂本恵, 丹波史紀, 金子信也, 福島哲仁, "新潟県中越地震の避難所における音の問題について," 日本音響学会講演論文集, pp. 809-810, (2006.3).

永幡幸司, 鈴木典夫, 坂本恵, 丹波史紀, 金子信也, 神田秀幸, 福島哲仁, "震災避難所における音の問題とストレスの関係," 日本音響学会講演論文集, pp. 889-890, (2007.9).

2011-01-07

米国の歩行者安全強化法の抄訳

米国で1月5日,オバマ大統領の署名によって,歩行者安全強化法(Pedestrian Safety Enhancement Act of 2010)が成立しました。この法案は,電気自動車やハイブリッド車(EV/HV)などのいわゆるQuiet Vehicle(静かな車)による歩行者の危険性に対策を講じるもので,米国運輸省(NHTSA)に対して,視覚障害者やその他歩行者に車両の通行を気付かせるための自動車の安全基準を策定するよう求めるもの。

gobtrack.usより法案が入手できるので,以下に山内による抄訳を掲載します。

※この法案は,2010年12月17日に米国下院本会議で可決された。上院ではそれ以前に可決されており,2011年1月5日に大統領の署名を経て成立したもの。本文章は,2011年1月6日現在でgovtrack.usに登録された最新版であり,両院で可決された最終議決版のテキストに基づく。

※要点としては,この法案成立によって「NHTSAが18ヶ月以内(つまり2012年6月まで)の基準策定に向けて動く」ということ,「具体的な音の要求事項等は規定されておらず,これから検討される」ことでしょうか。また,法案中の協議要求などにも視覚障害者が明記され,NFB等が依然強い影響を持っていることが伺い知れます。

※不慣れな法令英語なので,助詞の解釈など誤訳の可能性はあります。ただ,技術的なところで多くの人の参考になると思いますので公開いたします。(誤訳の指摘など頂ければ幸いです。)



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Section 1. 簡易名
    この法案は,歩行者安全強化法と呼ぶ。



Section 2. 用語

    ・alert sound: 歩行者に車両の存在,方向,位置,動きを意識させるために自動車から発せられる音
    ・cross-over speed: タイヤノイズや風切り音などのその他の要因が大きくなり,alert soundの必要性がなくなる速度
    (他の語は省略)


Section 3. 車両に装備される音の最低要求事項

    (a) 基準策定- 法案成立後18ヶ月以内に,以下のような車両安全基準の策定作業を開始すること
      (1) 視覚障害者やその他歩行者が近くを走行するEV/HVを無理なく検知できるalert soundの要求性能を定める安全基準
      (2) 新しいEV/HVには,本項による車両安全基準の要求事項を満たすalert sound を装着することを求める安全基準本項による車両安全基準では,運転者もしくは歩行者にalert soundの起動を要求せず,歩行者が近くを走行するEV/HVの走行状態を無理なく検知させることができるものを求める。自動車メーカーに対しては,各車両が車両安全基準に従う1つもしくは1セットの音を装着することを要求できる。さらに,同一の音セットを同一モデルの全ての車両に装備すること,メーカもしくはディーラ以外の第三者が音を停止,改変,変更できる機能の装備を禁止するよう要求できる。この車両安全基準は,法案成立後36ヶ月以内に交付される。

    (b) 検討事項- 規則制定に際して,以下の検討をすること

      (1) 視覚障害者やその他歩行者が近くを走行するEV/HVを無理なく検知できる音を装備すべき車両が発する最低音圧レベルを定める
      (2) 車両の走行状態を認識できるalert soundの要求性能を定める
      (3) 地域騒音への総合的な影響を検討する

    (c) 段階的導入- (a)項に従う車両安全基準は段階的施行期間を設け,公布後3年度目の9月1日からの遵守を求めること。

    (d) 協議- 必要な調査と規定の制定のための協議の際には,以下の各団体と協議すること

      (1) 環境保護調(EPA)(既存の騒音基準との一貫性について協議)
      (2) 視覚障害者団体
      (3) 自動車メーカおよびその代表団
      (4) SAE, ISO, UN/ECE/WP.29などの工業規格団体


    (e) 調査および報告- 法案成立後48ヶ月以内に,大臣は調査を完了し,(a)項の車両安全基準を従来車両(エンジン車)に適応する安全上の必要性があるかどうかを報告すること。必要がある場合,従来車両にも拡張した規定の制定を行うこと。



Section 4. 財源
    200万ドル(約1億7千万円)が用意される。

2010-11-30

ミュンヘン雪景色

先週末からの雪で,ミュンヘン市内は一面の雪景色になりました。
このまま根雪になるのか一度解けるのかは分かりませんが,とりあえず今週はずーっと最高気温も氷点下のようですのでしばらくこの景色が続くようです。

8月に紹介した写真と並べて,ミュンヘンの雪景色を。







2010-10-26

一人でコンサートウィーク<第5日>: ゲルトナープラッツ州立歌劇場/魔笛

一人でコンサートウィーク,いよいよ最終日です。今日は,ゲルトナープラッツ州立歌劇場(Staatsoper am Gärtnerplatz)に,モーツァルト<魔笛>を聴きに行きました。

これまでのミュンヘン3大オケよりはずっと規模が小さな劇場&オケです。場所は,マリエンプラッツ(市庁舎前)からヴィクトーリエンマルクトを抜けて,さらに南へ200mくらい行ったところのゲルトナープラッツという広いロータリーの広場の南側にあります。地図はこちら。中央のロータリーがゲルトナープラッツで,これを時計に見立てて6時から7時の位置にある建物が劇場です。


実は,ここのオケのコンサートマスターと2ndオーボエに友達がいるのですが,今日は二人とも降り番だったみたいです。

今日は,昨日の全くと言っていい程ステージが見えなかった€10の席より安い,なんと€6の座席。さてさて? 全部で4層あるバルコニー席の最上段,昨日と同じ日本式に言う5階席。ちょうど右の写真の最上段左から2番目の席でした。5階なんだけど,最前列ですのでステージは7割方見えます。上手端とステージ奥は間口の影になってしまいます。でもでも,舞台上の演出はほとんど分かるし,今日は舞台を楽しんだ!という気分に浸れました。

ホールが小ぶりな分,バイエルン州立歌劇場よりさらにデッドな響きです。オーケストラピットの床やステージで多少の反射はあるものの,ほとんど直接音を聴いている感じです。でも,あまり粗く聴こえないのはオケと歌手の腕でしょうね。

今日は,子供向け(?)公開の日で,3歳くらいの小さな子供や小学生〜中学生くらいの子供がたくさん来ていました。とは言え,それだけではなく,一般の人も多かったです。小学生グループは,カーテンコールの時に3人の童子(ボーイソプラノ)が出てきたときにはキャーキャー大はしゃぎでした。もしかして同級生!?

今日のお隣は無人でした。左側は4つ座席が空いていたので,2つ内側に詰めてちょこっと中央寄りで見ました。という訳で,今日は最終日にしてついに全く会話無しのコンサートでした。

ちなみに,写真は先月行われたオープンハウスの時のものです。オープンハウスでは,ステージのみならず大道具準備室や衣装室などまで公開されて,子供たちが衣装を着てみたり,役者さんと写真を撮ったり,風船をもらったりと,とても楽しいイベントでした。比較的小さい劇場なので,観客との距離も近く,親しみやすい雰囲気の劇場です。今日も子供向けの公開をしていたように,ここのような劇場がドイツの音楽文化の根っこを育てているんでしょうね。そんなオケのコンサートマスターが日本人というのは,日本人としてとても嬉しく誇りに思います。

世界に名だたるオケや歌劇場だけでなく,もし機会があれば,こんな劇場も訪れてみてはいかがですか?

2010-10-25

一人でコンサートウィーク<第4日>: バイエルン州立歌劇場/ラ・トラヴィアータ

一人でコンサートウィークはまだ続きます。今日はバイエルン州立歌劇場(Bayeriche Staatsoper)です。木曜日に訪れたヘラクレスザールがあるレジデンツのすぐ隣です。地図はこちら。(中央の薄緑色の屋根の建物が劇場)
トラム19番のNationaltheaterで降りれば目の前ですし,マリエンプラッツ(市庁舎前)からも歩いてすぐの街のど真ん中です。


木曜日金曜日に訪れたシンフォニーコンサートホールとは違う,ゴージャスな雰囲気。来ている人のオシャレ度もより高く,平均年齢もより高い感じです。(昨日ほどではないですが。)

本日のプログラムはG.ヴェルディ:<ラ・トラヴィアータ>です。日本語では一般に「椿姫」。指揮はカルロ・モンタナーロ。

前日になってチケットセンターで購入したので,€10の立ち見席しか残っていませんでした。全部で5層あるバルコニー席の上から2番目,日本式にいう1階席から数えて5階に相当する場所でした。その上手側の横っちょで,3列目。1,2列目とは段差がついているのですが,ステージを見下ろすには角度が足りない。どんなに頑張ってもステージの下手側1/3くらいしか見えません。しかもステージ奥の方は全く見えない。

写真は休憩中や終幕後に人がいなくなった中央方面へ移動して撮ったものなので,座席からはもっともっと見えないです。終幕後に中央方面に移動して,漸くこんな顔の歌い手だったのかと知ったくらい。じゃあ,オケは見えたのかというと,オケも1stヴァイオリンの第2プルートと木管ホルンが見えるのみ。むぅぅ。まあ,€10じゃこんなもんかな。

今日のお隣は日本の方でした。ゾーリンゲン在住のピアノ調律師だそうです。お互い「見えないねえ」と言いながら背伸びして,前の人の隙間からステージを覗いていました。勉強と趣味を兼ねて,各地のホールや劇場を訪ねているそうです。職業は違えど,僕と同じですね。

というわけで,音響的な話題を何か記録しなければ。

ひとつだけ挙げると,第一幕で何曲か録音伴奏の曲がありました。あれは何かの演出だったのかなぁ?でも,これもステージ上の様子が分からないのでなんとも...

というわけで,今日はあまり書く事がありませんので,この辺で。

2010-10-24

一人でコンサートウィーク<第3日>: Boarischer Hoagartn

演奏会三昧第3日は,こちらのボスに誘われているバイエルン民族音楽。「コンサートではなく,集まりだ」と説明されているのですが,どういったものなんやら?という感じでほとんど前知識無しで出かけました。

途中の地下鉄駅で待ち合わせて,車で拾ってもらって会場へ。奥様に初めてお会いしました。すでにリタイアされているけど,高校でドイツ語とフランス語を教えていたそうで,とても綺麗な英語も喋る方です。

会場は,ミュンヘン市南西部のSendling地区にある,聖トーマス・モールス教会(St. Thomas Morus)の集会場。どうやら,教会所属の地区の人たちが集まり,音楽や食事を楽しむというイベントのようです。(たぶん,ね。)

毎月のようにいろいろな会場で行うそうなのですが,オリジナルには秋に行うものだそうです。

ちなみにタイトルの"Boarischer"というのは,「バイエルンの(Bayerische)」のバイエルン訛り。 "Hoagartn"というのもバイエルン訛りだそうです。標準ドイツ語なら"gartn"が"garten"となるところですが,訛っています。

集まったのは総勢200人はいるかという感じ。その中で,こちらのボスを含む10名くらいが楽団として参加していて,演奏をします。演奏は,ツィター(Zither),ギター,ハックブレット(Hackbrett/写真),コントラバス,ハープ,アコーディオンなどによる演奏と歌。特に,ツィターやハックブレットは,バイエルンやチロルなどのアルプス地方独特の楽器。演奏される音楽もバイエルンの音楽だそうです。

とりあえず料理を食べて,それから演奏などなどが始まります。上記の楽器のソロやアンサンブルと歌,それから民話やポエム(?)の朗読が交互に披露されます。朗読は,当然全く分かりません。でも,おもしろ系のお話のようでみんな笑ってます。落語のように声色を変えたり,スピードを変えながらなので,ある種の音楽のように楽しみました。

あまり外国人が参加することはないイベントのようで,司会のおじさんが,わざわざ僕のことを紹介してくれました。ところが「今日の演奏を聴くためにわざわざ日本から来た」というような感じで紹介したようで,すごい喝采を受けました。ボスの入れ知恵か!?

さて,そのボスはコントラバスとハックブレットを演奏してました。今まで知らなかったのですが,学生時代は工学部と音楽学部を掛け持ちしていて,コントラバス奏者の道も考えていたらしい。州立歌劇場でプロの奏者たちが音楽の話をせずにサッカーの話ばっかりするのに幻滅して,研究者になったんだって。まあ,この辺のエピソードは話半分かもしれないけど。でも実際,著書のプロフィールを確認したら'69年にミュンヘン音楽大学(Hochschule für Musik und Theater München)を卒業して,'70年にミュンヘン工科大(TUM)を卒業とのこと。ちなみに専攻はコントラバスだったそうです。音響学は音楽と切っても切れない関係にあるので,音楽の素養がある研究者がとても多いですが,音大を演奏専攻で卒業してる研究者は少ないぞ!

バイエルン州立歌劇場でコントラバスを弾くか,ミュンヘン工科大でアカデミアに入るかという選択だったわけですよね。凄い!どっちもドイツ国内で指折りの,世界に名を馳せる団体ですよ。僕の場合は,研究職が見つからず困り果て,かといって打楽器でも食っていけないし,というポスドク生活だった。ベクトルの方向性はちょっと似てるんだけど,スケールが全然違うなぁ....

2010-10-23

一人でコンサートウィーク<第2日>: ミュンヘンフィルハーモニー/ガスタイク

今日は,ミュンヘンフィルハーモニーのコンサートを聴きに,ガスタイクへ行ってきました。ガスタイクとは,図書館や市民大学施設などからなる複合文化施設の総称でもあり,正確にはガスタイクのフィルハーモニーというホールに行ってきました。地図はこちら。(中心の水色の屋根の不整形な建物がホール部分)

本日のプログラムは,シュレーカーの「夜曲」,マーラーの「リュッケルト詩による5つの歌曲集」,ブラームスの交響曲第4番。指揮はもちろん,クリスティアン・ティーレマン。ソプラノはルネ・フレミング。

ガスタイクは一度入口までは来た事があるので場所に不安はありません。しかも,昨日のヘラクレスザールと違って,付近も明るいので安心です。入口を入ってからも広くて明るい。昨日の不安は全くありません。

ホールは,壁面は主に木材で構成されたワインヤード型の大型ホールです。形状は不整形。今回座った座席は上手側の2階席だったのだけど,全体やステージが不整形なだけでなく,なんだか傾いている感じ。座席の列に対して通路がナナメに設定されていることによる錯覚かもしれないけど,なんだか階段は歩きにくく,フラフラしてしまう。実際,みんなフラフラしてた。

響きは,どちらかというとデッドなホール。でも,バランスはいい。響きに包み込まれるような快感はないんだけど,オケの各楽器の動きが目に見えるように聴き取れる。もちろんオケの腕によるところもあるだろうけど。弦セクションがバランス良く響き,木管アンサンブルが綺麗に溶け合い,金管も心地よく寄り添う。ただ,最後列の打楽器の響きがちょっと分離しちゃうのが残念。

ただし,終演後に別の場所で聞いていた人に感想を聞くと,木管が埋もれていたらしいので,座席によって違うのかも。「座席によっては...」という昨日のおばちゃんの話を思い出し,おばちゃんが正しかったのかと納得。

演奏も素晴らしかった。特に前半。知らない曲だったけど,すーっと引き込まれる感じ。後半のブラームスもしっかりと構成された,緻密な演奏という印象。何より,常にティーレマンが主導権を握っている!という状況(ある種の恐さ)を常に感じさせる演奏でした。4楽章中間部のフルートでさえ,ティーレマンの左手と繋がった糸で操られているのかというくらい。もちろん良し悪しですが。



昨日の「Wiesnの暴走ジェットコースター」になぞらえて,敢えて乗り物に例えるなら,メルセデスかなんかの高級車という感じかな。もしくはICEの1等車とか。すごい運転をしても全くもって安定してるという感じとか,ちょっと手の届かない感じとか,ちょっと無機質な感じとか。

いい演奏だったし,満足なんだけど,どちらかというと昨日のバイエルン放送響の方が好き。なんでだろ?

昨日は石造りで良く響くホールのオケの表情まで見える場所で,今日は遠く離れていてなおかつデッドなホールで聴いたので,その違いかもしれない。昨日は隣が地元のおばちゃんでちょこっと喋って面白かったけど,今日の両隣はおっちゃんでまったく会話が無かったという無機質さもあるかもしれない。それともやっぱり,ティンパニストへのシンパシー?

いずれにせよ今は,ミュンヘンフィルはいいオケだし素敵だとは思うんだけど,バイエルン放送響の方が気になる存在。別にもう一度壊れかけのジェットコースターに乗りたいってわけじゃなくって,シェフであるヤンソンスが振るコンサートで彼らの本気を見てみたい。

2010-10-22

一人でコンサートウィーク<第1日>: バイエルン放送交響楽団/ヘラクレスザール

バイエルン放送交響楽団のコンサートを聴きに,王宮(レジデンツ/
Residentz)内にあるヘラクレスザールへ行ってきました。レジデンツにある,と言っても,バイエルン州立歌劇場と並んでレジデンツ博物館の入口がある南側ではなく,Hofgartenに面した北側にホールの入口があります。地図はこちら




10月の午後7時なので真っ暗なのに入口側は街灯も少ないし,本当にここにコンサートホールがあるのかどうか不安になるような景色です。

中に入ると,石造りの重厚なホールロビーがあり,ちゃんと明かりが灯っていたので安心。入口を入って左手にクロークカウンターがずらっと並び,その奥の階段を上るとホールのフロアです。

ホール内部も,かなり歴史を感じさせる石造りのホールです。縦長のシューボックス型。装飾はプロテスタント教会程度の簡素なものだけ。古代ギリシャ風(ヘラクレス?)の大きなタペストリーが掛かっています。

今回聴いたのは,ステージ上手横の2階席だったので,全体の響きはよく分かんなかったけど,けっこう独特な響きな印象でした。ワンワン響くわけでもないんだけど,しっかり響いている感じ。シンプルさが独特という印象。また,ステージは間口が狭いのでオケが縦長になり,ティンパニや金管にとってはアンサンブルしにくそうなステージです。実際,大変そうだった。

バイエルン"放送"交響楽団ですので,公演はテレビやラジオで中継されることも多いようです。ステージ上の天井からマイクがずらりと吊られています。ティンパニ,コントラバス,ハープのマイクだけはスタンドでした。

さて,演奏ですが,前半のバルトークはまずまずの好演。だけど,後半のベートーベン(5番)が大変だった。1楽章で,なかなか足並みが揃わず,ばたばたした演奏が続いていたけど,ついに展開部ではティンパニは飛び出すわ,コーダに入るところでファゴットは飛び出すわの事故だらけ。この先どうなるの!?という不安な演奏。

なんか妙な空気を引きずったまま,2楽章,3楽章もテンポに一貫性がなく,落ち着かない演奏。

たぶん滅多にないダメ公演だったと思います。でも,そんな中でも木管の音色だったり弦の響きだったりを聴かせたり,テンションをなんとかリカバリーしていく,オケの底力を見れて面白かったですが。

まあ底力を見せるとは言っても,既に残された時間は少なく,取り戻せるものは少ない。曲は運命。どうする!? ...

やっぱり超速で無理矢理テンションを上げてました。4楽章の提示部の2回目は,1回目より二目盛りくらいテンポ上がってました。指揮者もオケもあおりまくって,どんどん速くなる〜

石造りの古いホールの壁と,超高速で無理矢理演奏をまとめようとしているオケを見て,頭をよぎったのは「Wiesnの暴走ジェットコースター」 オクトーバーフェストの会場(バイエルン訛りでWiesn)なんかで出てきてる,ギシギシ音を立ててる古ーいジェットコースターのよう。実際,ネジが何本か飛び出しちゃってるわけだし...


最終的には,粗いんだけど,スリル満点でエキサイティング!という感想でした。大事故をやらかしたティンパニストの名誉のために補足しておくと,バルトークではペダリングの嵐の超絶技巧な箇所もあるんですが,好演でしたよ。飛び出しポイントはなんかよく分からんけど,指揮者もコンマスも確実にコントロールできていた感じではなく,その前から崩壊気味ではありました。まああの飛び出しは致命傷だけど。

終演後,ティンパニ奏者はみんなと一緒にステージを降りず,寂しそうにゆっくりとバチを片付けて(下の写真),他の奏者が居なくなったのを見計らってとぼとぼ帰って行きました。その気持,よーくわかります...




左隣のおばちゃんとは,英語とドイツ語まぜまぜでちょこちょこと話ました。近所に住んでいて,バイエルン放送響はよく聴きに来るそうです。
おばちゃん曰く
「ここはいいホールでしょう?ミュンヘンにはもうひとつガスタイクってのがあるでしょ?あそこのはダメよ。ホールの響きに問題ありすぎ。席によっては全然ダメ!」
スポーツの応援と同じように,自分のサポートするオケっていう感覚があるんでしょうね。
また,この街で100年前,200年前からこのような音楽の文化を育ててる歴史がそこかしこにあるというのも,改めて感慨深く感じました。何というか,オーケストラがあって,コンサートがあるのが当然で,連綿と歴史を重ねているんだという感じかな。

明日は,ガスタイクへミュンヘンフィルを聴きに行きます。

2010-10-12

ベルリン〜旧東独エリアの風景

ベルリン市内には,ベルリン大聖堂や,コンツェルトハウスを挟んで二つの教会が対称に並び立つジャンダルメンマルクトなどのような建築物もあるのですが,今回の訪問でのベルリンという街を代表するイメージではありませんでした。
「ドイツで最もドイツらしくない街」と言われるように,近代的な建物が多く,自分自身の「ドイツ」のイメージの一方にある,Mercedes-Benz, BMW, Siemens, Hugo Boss, Rimowaなどの,直線的,構造的,メカニカル,金属的などのイメージがベルリンには溢れていました。(バイエルンに1ヶ月住んでから来たので余計にそう思うのかも知れません。)


↑ポツダマープラッツ(ソニーセンターの大屋根とDB本社ビル),中央駅↓



また第二次大戦や冷戦時代東西のせめぎ合いをそこここに感じさせる不思議な街でした。地下鉄も暗いし,重い空気が常にどこかに漂っているような印象でした。



さて,ベルリン訪問の後はマイセン(Meißen)を経由して,ドレスデン〜ニュルンベルク〜ミュンヘンと帰ってきました。マイセンの町並みと,車窓からのドイツの田舎の風景を何枚か。これもまた「ドイツらしい」風景。PCの壁紙にぴったり!?





ミュンヘンに帰ってくると,ここは豊かな土地なんだと改めて実感しました。水道からは飲める水がじゃばじゃば出てくるし,オシャレな人が多いし,飼い犬連れ率が高いし,高級車も多いし。
また,水のせいか,ベルリンのビールは残念な味でした。雑味が多い。この味だったら,ベルリナーヴァイス(右写真)のようにシロップ割りで飲んだり,量も少なめでいいやという感じですね。
やっぱりビールはバイエルン!

2010-10-11

ドイツ連邦議会議事堂でスターウォーズ気分

先日の,国連QRTV(静かな車)作業部会の会議後に,ドイツ国交省代表団のコーディネートで,ドイツ連邦議会議事堂の見学ツアーがあり,もちろん参加してきました。

ドイツ国交省の人のコーディネートなので,特別エリアに入れたのかと思いきや,事前予約させすれば入れるらしい。しかし,これはひと手間掛けて予約する価値あると思いますよ。



議事堂の東口は,屋上ドームへの観光客の長い行列ができています。でも,その行列では,入口からすぐにエレベータで屋上に上がり,ガラスドーム内と屋上からの景色を楽しむだけ。事前予約の見学ツアーでは,エレベータに乗らず,奥に見える議場の方へ入っていきます。

もちろん,議席エリアへの立ち入りはできませんが,ガラス扉なので内部がよく見え,テレビで見るブルーのシートと巨大な鷲の紋章(ブンデスアドラー Bundesadler)が眼前に現れます。ちなみに,このブンデスアドラー,ドイツのシンボルなのですが,現在では用途(議事堂用,裁判所用,警察用などなど)に応じてデザインが登録されているそうです。この連邦議事堂用の巨大アドラーは前面背面で異なるデザインを持っています。背面はこのような姿。内部ツアーでのみこの姿を見れますよ。

ツアーガイドによる英語の説明を聞きながら,議会場を中心とした回廊を反時計回りに回りました。ガイドは,参加者の国籍なども考慮しながら,アドリブを交えて丁寧に説明してくれます。(かなり早口の英語だったので,半分くらいしか理解できませんでしたが...)

だらーっとした雰囲気の人々が写っていますが,みんな昼間はキリッと大真面目に,
それぞれの立場を代表して議論している人たちですよ。まあ,会議が終わった後は,
それぞれの立場のしがらみを離れてコミュニケーションしようというところなので。


さて,この建物は,17世紀に旧ドイツ帝国の議事堂として建設され,その後の火事や第二次大戦での破壊によって廃墟と化していたそうです。それが,東西ドイツ統一の後,1999年に現在の姿で再建されました。再建の際に外壁は保存されましたが,内部はほとんど新築に近い様相です。
しかし,内部各所はに,建設当時の石組みや,ソ連軍による落書き(ほとんどが恋人の名前や故郷の地名など他愛のないものだそう)などが保存されています。



議場のデザインにもガラスをふんだんに取り入れ,さらに屋上のガラスドームから日光を取り入れるなど,オープンな姿勢や開かれた議会政治をアピールしているよう。ガイドの説明もその点を強調していました。その上で,国家社会主義政党(ナチス)時代の反省を意識し,それを表現したモニュメントを設置しているなど,構造的な建築様式も含め,非常に「ドイツ的」な建物である感想でした。

低層部のガイドツアーの後は,エレベータに乗って,屋上ガラスドームへ。ここのガラスドームで取り入れられた日光が,中心のタワー上の鏡オブジェによって反射され,議場内部を照らします。見学は夜間でしたので,ライトアップによって暗闇に幻想的にガラスドームが浮かび上がります。内部も未来的なデザイン。

このデザイン,個人的には,スターウォーズの世界の印象でした。見学中,頭の中は常に「ダースベイダーのマーチ」!敢えてそのイメージを意識して撮影した写真を何枚か。ほら,今にもストームトルーパーやダースベイダーが現れそうじゃない?









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おまけ

ブランデンブルク門には,本当にサンドルーパーがいました!

安そ〜なラジカセを背負って,ダースベイダーのマーチ(めっちゃ歪んでる)を流しながら歩いてました。

2010-10-07

国連自動車基準世界フォーラムの低騒音車作業部会(QRTV)参加

先日ここに書いた通り,国連QRTV (Workgroup on Quiet Road Transport Vehicle)の第4回会議に,議長招待のexpert(中立的な立場)として参加し,研究内容を紹介してきました。会議は,ベルリン中心部にあるドイツ自動車工業会(VDA; Verband der Automobilindustrie)にて開催されました。

どこまで書いていいか難しい話題なので,ここに掲載するかどうか悩みましたが,情報提供として,会議の様子と感想を私見としてまとめておきます。
(注:というわけで,以下にあるのは,あくまで山内個人の見解です。公式には,次回会合で議事録が承認され,UNECEのサイトに公開されるはずです。)

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現在,「静かな車の危険性」が指摘され,各国政府,ならびに関連業界が対応を迫られています。QRTVの課題は,この静かな車の問題についての具体的な議論を行い,上位委員会であるWP29のGRB(騒音部門委員会)への提言をまとめることです。その中で,現時点で唯一の具体的な国レベルの対応である日本のガイドラインが,有力な議論の中心となっています。

今回のQRTVでの議論の中心は
・どのようなタイミングで音を鳴らすのか
・ON/OFFスイッチを備えるべきか
・どのような音(音色/音量/時間パターン)を鳴らすのか
・どの程度の拘束力を持たせるのか
などの問題でした。(詳細は,議事録の公開を待とうと思います。)しかし,まだまだ「折り合い」はついていない状況です。

個人的な成果としては,自らの研究動向を紹介して,かなりの存在感を示すことができました。QRTV議長,GRB議長からも「次回も来いよ!」と言ってもらえましたし。(議論のための具体的なデータが少ないのが実情で,アカデミアからの更なる情報提供を期待されていると強く感じました。)また,ON/OFFの切り替えスイッチの装備に関しての議論の中で「議論中の音は,スピーカから鳴らされなければならないとは限らないはずだ。スイッチを装着すべきなどと記述することは『スピーカからの放射』が前提と捉えられる恐れがあり,将来の車のサウンドデザインを制限してしまう。」と指摘できたのはよかったと思っています。


また,このような世界共通の基準に直結する場所で,自らの研究データを紹介しながら議論に参加することができたというのは,とてもとても大きな体験でした。学会のような,政治的に中立な場所での発表とは異なり,発言や立場の取り方の難しさがありますが,それも興味深く経験することができました。次回のQRTVも,ぎりぎり参加できそうな日程ですので,さらなる情報収集と可能なら研究報告を行いたいと思っています。



写真は,会議が行われたドイツ自動車工業会(VDA; Verband der Automobilindustrie)の建物入口と会議の様子。